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紛争下の性的暴力被害者とその子供たちへの支援の必要性

英国政府とUN Women アジア太平洋地域事務所は「アジア太平洋における紛争下の性的暴力:被害者支援の優先化」を刊行しました。

Needs of victims/survivors of conflict-related sexual violence and their children

Margaret Tongue, Deputy Head of Mission of the British Embassy Bangkok

武力紛争や内戦からのアジア太平洋地域の女性と子どもが性的暴力などの人権侵害に遭っており、彼女らの保護は、継続的な課題となっています。多くの場合、性的暴力の被害者とその子供たちの存在は忘れられ、彼女らの必要とする支援は優先されません。

UN Womenは6月19日(月)にバンコクにて、英国政府からの協力のもと、紛争下における性的暴力への関心を高めるべく、また被害者支援に関する提言をするべく、報告書を発表しました。

報告書「アジア太平洋における紛争下の性的暴力:被害者支援の優先化」は、紛争下の性的暴力被害者とその子供たちのニーズに応えるべく、新たな解決法を提案しました。

この研究は、紛争中、女性に対する性的暴力が危機的なレベルで蔓延していることを指摘し、紛争下において女性が拘束され、拘留中に虐待されることも多々あると報告しています。またその多くは、繰り返し強姦され、兵士や民兵と強制的に結婚させられています。

加害者の責任を問う声が高まっているなか、性的暴力の被害者とその子どもたちの医療や、心理社会的および経済的なニーズへの対応は遅れています。

本報告書は、紛争下において、特に性的暴力を受けた女性が、これまで受けた人権侵害による経済的影響を克服するべく、生活水準の維持、相続の法的権利、土地と資源の所有権を確保する必要性を指摘しています。

マーガレット・タング駐タイ英国公使は、報告書発表式典において、「英国は、紛争における性的暴力を排除する国際的取り組みの一環として、この革新的な報告書を通じてUN Womenと協力できることを嬉しく思います。この問題に対処するには、被害者のニーズを認識し、彼女らを政策の中心に置くことが重要です」と語りました。

また、UN Womenのガバナンス・平和と安全保障担当リージョナル・アドバイザーのハニー・クエヴァ・ベテタ氏は、「被害者の経済的機会と今後の生活にとって重要な相続と土地所有権の課題に取り組んでいる国家行動計画が存在せず、これに対処する必要がある」とした上で、アジアにおける「女性と平和・安全保障の国家行動計画」は、紛争下における性的暴力の被害者のニーズに対応していないという報告書の見解を紹介しました。

報告書は、専門家による調査研究、政策分析、ネパールとスリランカの事例研究から成り、紛争下における性的暴力の被害者とその子供たちへの支援の向上のために政策に携わる関係者にとって貴重な資料となることが期待されています。

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