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英国新エネルギー安全保障戦略の発表について

2022年4月7日、英国政府は新たに「英国エネルギー安全保障戦略」を発表しました。

英国新エネルギー安全保障戦略

「英国エネルギー安全保障戦略」は、英国がエネルギー自給率を高めるためにどのように英国内の電力自給を加速していくか、またどのように世界のロシア産化石燃料への依存を減らし、クリーンで安価なエネルギーへの転換を図っていくかについて計画を策定しています。

本戦略は、パンデミック後の需要急増とロシアによるウクライナ侵攻によって引き起こされた世界的なエネルギー価格高騰へ対応するものです。

この戦略は、国際市場によって決まる不安定なガス価格に左右されてきた英国の輸入化石燃料への依存を減らし、英国の多様な国産エネルギー源を増強・長期的なエネルギー安全保障を強化するための軸となります。

本戦略は英首相の「グリーン産業革命のための10項目計画」「ネットゼロ戦略」に基づいており、英国が風力、原子力、太陽光、水素の展開を加速する方法を示す一方、短期的に国内の石油とガスの生産を支援し、2030年までに電力の95%を低炭素化できるようにします。

発表された主な政策は以下のとおりです。

原子力:原子力の導入を大幅に加速し、2050 年までに最大 24GW を目指す。これは同年に予想される英国の電力需要の約 25%に相当する。

洋上風力発電:2030 年までに最大 50GW の新たな目標を設定。これは英国の全家庭に電力を供給するのに十分な量であり、このうち浮体式洋上風力発電で最大5GW を確保することを目指す。

石油とガス: 自国産エネルギーへの移行とエネルギー安全保障におけるこれらの燃料の重要性を認識し、また、英国でガスを生産することは海外から輸入するよりも二酸化炭素排出量が少ないことを認識し、秋に新たな北海石油・ガスプロジェクトのための認可プロセスを開始予定。

陸上風力発電:新しい陸上風力インフラ受け入れを望むコミュニティとのパートナーシップを構築するためのコンサルティングを行う。

ヒートポンプ製造の拡大:ガス需要低減に向け、エネルギー効率を向上させるために英国産ヒートポンプ製造の拡大を目指す。

太陽光発電:現在の14GW の太陽光発電容量を増加させ、2035 年までに5倍となる最大70GWまで増強。

水素:2030 年までに低炭素水素生産能力を 10GW まで倍増させる。

英国政府は、2022 年末までにロシア産の石油・石炭の使用を段階的に廃止し、可能な限り早急にロシア産LNGの輸入を停止することを約束。世界のロシア産化石燃料への依存度を低下させることに貢献すると発表しました。

英国はG7などの国際的な協調行動を通じロシアのエネルギー収入を減らすための国際支援を構築し、他国が同様にクリーンで安価、安全なエネルギーへの移行を進めることを支援していきます。

ボリス・ジョンソン首相は以下のように発言しました。

「我々は今後10年間で、新たな原子力発電所から洋上風力発電まで、英国のために、英国で作る安価でクリーンかつ安全なエネルギーを拡大・加速させていくという大胆な計画を打ち出した。

これにより、不安定な国際価格にさらされる電源への依存を減らし、より安価なコストでエネルギー自給を享受できるようになるだろう。」

詳細は下記ページよりご確認いただけます。(※各ページ英語版のみ)

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