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イノベーション創造の秘訣とは?~英国の経験から

英国はグローバルイノベーション2015インデックスで2位を獲得しました。どのように実現したのでしょうか?

Innovation is GREAT

英国は、2015年版のグローバル・イノベーション・インデックスにおいて、スイスに次いで2位に選ばれました。3位はスウェーデン、5位は米国、7位はシンガポール、12位はドイツ、19位に日本、そして20位はフランスでした。

なぜ英国は2位に選ばれたのでしょうか?

なぜなら英国は伝統とイノベーションを融合させてきたからです。英国人は創造的、好奇心旺盛で、パートナーとして優れており、公平で、時には物ごとを違った角度から見ています。

品質とインパクト

また、英国はヨーロッパで最も生産性の高い研究拠点をもっています。トップクラスの大学やリサーチ・カウンシルは、世界各国の科学者とともに、最高の科学を探求しイノベーションを起こしています。英国はヨーロッパ1の研究開発の投資先でもあります。

英国の高等教育は優秀な人材を魅了し育成してきました。Times Higher Education World University Rankingsによると、世界で最もインターナショナルな100大学のうち38大学が英国にあります。また、2015年秋に発表されたQS World university rankingsによると、最もグローバルな50大学のうち10大学が英国にあります。英国は多くの留学生を惹きつけてきました。英国は日本人学生にとって4番目に人気のある留学先です。英国の大学は世界のリーダーを育成しており、これまでに米国の10倍の数の将来の国家元首を教育してきました。

イノベーションへの投資

英国政府は、英国の科学やイノベーションシステムが世界最先端であり続けるのに必要な施設や人材を確保できるよう継続的に投資しており、今後5年間に59億ポンドを投資する予定です。これには、大学や研究機関内の世界クラスの研究室をサポートするための30億ポンドが含まれています。

英国にはイノベーションをサポートする世界有数のコミュニティーがあります。具体的には、カタパルトセンターやサイエンスパーク、国際的に信頼性の高い計測単位や各種基準、知的財産機関、またアイディアを市場で実用化させる民間の分野ごとのスペシャリストです。

ビジネス主導のイノベーション

オープンなビジネス環境も英国がEUの成長を牽引する上で必要不可欠です。英国のイノベーションをサポートする様々な政策の中には、イノベーション・フレンドーな税制度があります。例えばR&D税クレジットやPatent Boxといった税優遇策が含まれており、成長を後押しするとともに、民間からの研究開発投資をサポートしてきました。これまでに、多くの日本企業を含む15,120企業から132億ポンドの投資が行われました。法人税もいまや20%となり、今後18%まで下がる予定です。

英国は今やレンガや機械よりもアイディアや知識に投資しています。最新の記録によると、無形資産への投資(1260億ポンド)は有形資産への投資(880億ポンド)より多くなっています。このうち半分は知的財産権によって守られています。Taylor Wessing’s Global IP Indexは、英国は知的財産権を獲得、活用、執行するのに世界で最も適していると評価しています。

英国には、創造性や発明、起業家精神を育てる土壌があります。インターネットから皮下注射器にいたるまで、世界の人々の生活を変えた多くの商品やデザインを世に送り出してきました。海外起業家へのサポートも充実しており、投資家や起業家向けの新しいビザや、多額投資家や起業家がより円滑に英国に移住するための優遇サービスがあります。ロンドン大学、オックスフォード大学、ケンブリッジ大学などでは、研究者の中に起業家精神が育っています。最近のNatureの研究によると、多くの研究者が機会があれば起業したいと考えています。

イノベーションを生み出すコラボレーション

また、英国は、ビジネスと大学間の協働が大変盛んで、年間35億ポンド以上が投資されています。例えば日立や東芝などの企業からの投資は、英国の大学の専門知識への高い評価を表しています。

国際協力も研究・投資の両面において我々の成功の基礎となっています。日英間においては、毎年8,000人を超える研究者が互いの研究機関を行き来しています。英国は日本にとっては欧州随一の技術交流パートナーであり、欧州市場及び専門知識において中心的存在と言えます。

最新のNatureレポートによると、ほとんどのイノベーションは、様々な要素の組み換えによるもので、大学や企業といった組織、セクターや国を超えてどれだけ知識が共有されるかにかかっています。英国はこの指標を改善し続けています。カタパルトセンターは、英国の研究拠点と連携している企業主導型のイノベーションをサポートしています。National Centre for University Business Collaborationなども産学連携の具体的な取り組みのひとつです。英国と日本が協働すれば、世界のリーダーとなりえます。我々の共同研究は世界平均の2.5倍多く引用されています。イタリア全土よりも多くの車が日産のサンダーランド工場で生産されています。

これらは全て事実です。未来を予測する最善の方法は、未来を創造することです。そして未来を創造するための最善の方法は、パートナーシップにあります。

英国と創る未来

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