2014年国連人権デー：この1年の取り組みを振り返る
本日は2014年国連人権デーです。この1年、英国大使館はさまざまな分野で人権の向上に取り組みました。
Ambassador Tim Hitchens celebrating LGBT rights at the Tokyo Rainbow Parade 2014
今年は、日本国内で、日本政府および様々な国際機関と共に、人権問題に取り組みました。例えば、英国婚姻法の改正により合法化された同性婚の婚姻登録を執り行ったり、女性に対する性的暴力防止の啓発活動に取り組んだり、日本へ死刑制度廃止の働きかけを続けたりしてまいりました。
LGBTの平等
4月にはLove is GREATキャンペーンの一環として、英国は全ての方々にとって訪れやすい国であるということを示すために「東京レインボープライド2014」に参加しました。ティム･ヒッチンズ駐日英国大使は会場となった代々木公園で大勢の参加者を前に次のようにスピーチしました。「英国ではLGBTの方々の生活がこの数十年で大きく変化しました。これまで私たち英国民は必ずしもオープンで寛容的とは言えませんでした。ですが今日、私はここに自分が英国人であることを誇らしく宣言したいと思います。3月末には英国婚姻法が改正され、イングランドとウェールズで同姓婚が正式に認められました。これはまさに英国が長年培ってきた尊厳・寛容・平等の精神をこれからも尊重し続けることの証です」。英国大使館では婚姻法の改正を受けて、これまでに英国籍の方を含む2組の同性婚の婚姻登録を行いました。
性的暴力の防止
2014年は「紛争下における性的暴力の防止」（PSVI）活動にとって大きな節目の年となりました。6月にはロンドンで国際サミットが開かれ、世界中のメディアの注目を集めたほか、東京の英国大使館でもこのサミットの成功に勢いを得て、紛争地域における性的暴力をテーマにした日本人と外国人アーティストによる作品の展覧会を開催しました。日本はPSVIにおいて国際社会の重要なパートナーとなっています。 16日間にわたるキャンペーンの幕開けとなった11月25日の「女性に対する暴力撤廃国際デー」には日本政府・赤十字国際委員会共催のイベントが上智大学で開かれ、ジュリア･ロングボトム駐日英国公使が講演を行いました。この日のイベントには学生、市民、学識者の方々が参加されました。ロングボトム公使は、戦争犯罪としての性的暴力を報告・告発する手段として英国主導で作成された国際議定書の普及啓発について説明し、これまでに達成した成果の勢いを緩めないためにもG7諸国全体の強力なリーダーシップが大事であると述べました。
Artists exhibiting their work inspired by the ‘Time to Act’ campaign, as part of a special PSVI exhibition at the Embassy
国際連携の強化
日本はリーダーとして、また国際社会のパートナーとして、その他のさまざまな国際人権問題も取り組んでいます。9月には「女性が輝く社会に向けた国際シンポジウム」（WAW! Tokyo）を初開催し、成功を収めました。また今年は「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約」（通称：ハーグ条約）も発効しました。国際機関が取り組んできた人権問題の大半について、長年、英国と日本が共同歩調を取ってきたことは誇るべきことです。一番最近では、EUと日本が共同で国連に北朝鮮人権状況決議案を提出し、英国もそれに賛成し採択されました。
死刑制度の廃止
日欧関係は大変良好でありますが、すべてのことについて同じ考えを持っている訳ではありません。死刑制度もその1つです。駐日英国大使館を含め、EUは日本の死刑制度について世論を喚起しようと取り組んできました。3月には駐日EU代表部公使 / 副代表とともにヒッチンズ大使が日本弁護士連合会で講演を行いました。今年執行された3件の死刑に関しては、ソーシャルメディアを通じて懸念を表明しました（一番最近のツイートに対してはリツイートが3万回を超えました）。10月の「世界死刑廃止デー」には死刑の執行停止（モラトリアム）を求める声明を各駐日EU加盟国大使館とともに発表しました。11月には日本弁護士連合会主催のシンポジウムが開かれ、出席したロングボトム駐日英国公使が死刑制度の廃止を訴えました。このシンポジウムには数十年にもわたり死刑囚として生活し、今年釈放された袴田巌さんも出席し、講演を行いました。
Minister Julia Longbottom meeting Hakamada Iwao, who was recently released from prison after spending over 40years on death row
来年も引き続き、さまざまな人権問題について日本の皆様との協力を進めていきたいと思っています。