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公衆衛生危機への予防と備え

G7保健大臣会合に先駆けて、日英の専門家がグローバル・ヘルス・セキュリティー・セミナーにおいて、国際的なパートナーシップの重要性について強調しました。

Global Health Security and Response to Public Health Emergencies through Better Preparedness

2016年6月29日(水)に、駐日英国大使館は「グローバル・ヘルス・セキュリティーと公衆衛生危機への予防と備え」と題したセミナーを開催しました。

5月に伊勢志摩で開催されたサミットにて、グローバル・ヘルス・アーキテクチャ(国際保健の枠組み)の強化に関し、世界規模での協力体制が不可欠である事が確認され、具体的な行動を取るコミットメントが合意されました。エボラ出血熱やジカウイルス感染症などへの対応、薬剤耐性、新興・再興感染症への予防と備えへの迅速な対策は、グローバル規模での共通認識と取り組みが必要です。国際的なスポーツイベントの開催やオリンピックなど、人の移動がとても活発である中、感染症の問題は新興国だけのものではなく、より身近な問題であるとの認識が必要となります。

本セミナーでは、公衆衛生上の緊急事態に対する対策に関し、感染症の歴史に触れ、国際的なアジェンダとして取り上げられた経緯、海外での最新対策動向、ならびに今後の持続性のある対策としてのグローバル・パートナシップモデルにつき、情報交換する良い機会となりました。

まず GHIT会長、日本医療政策機構代表理事 黒川清氏より、人類の感染症との戦いの歴史、ならびに過去日本で開催されたサミットでヘルス・アジェンダが取り上げらた経緯について触れて頂きました。次に官民パートナーシップの代表例として感染症のワクチンの開発などに取り組んでいるGHITについてお話頂きました。最後にこの問題に取り組んでいくにあたり、更なる議論が進み、グローバルなパートナーシップならびに今後の更なる日本のリーダーシップに期待するというコメント頂きました。

次にDr Moncef Slaoui, Chairman, GSK Vaccinesより、グローバルをリードする英国製薬企業としてワクチン開発に携わってきた取り組みにつき、最近のエボラ出血熱のアウトブレークを例にとりお話し頂きました。また、過去に発生した感染症の歴史を鑑み、今後もこのようなアウトブレークが起きる可能性がある中、能動的な対策では持続性が保てないという事から、ワクチンの開発と製造を継続的に行うグローバル組織BPO (Bio Preparedness Organisation)設立の提案につき触れました。

BPOの設立にあたっては、CEPI (Coalition Epidemic & Pandemic Innovation) パートナーシップ連合(コーリション)を発足し、資金提供者、製品開発者、規制当局、グローバルヘルスパートナーなどの関係者が一堂に集まり、開発の優先順位、ファンディング、R&D、規制、在庫、配布などあらゆる点について議論するという構想でした。

講演後、登壇者によるパネルディスカッションが行われ、またパネリストと聴講者間のインタラクティブな意見交換もあり、活発な議論が行われました。持続可能な対策システムの構築には、真のグローバルパートナーシップが不可欠であることが明らかであり、この取り組みの実現に向けて日本ならびに英国がリードをとっていけるという期待もこめてディスカッションは閉会しました。

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