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英国外務省の年次人権報告書で日本の死刑制度を解説

この報告書では、世界で死刑執行数が減少する中、日本ではその数が増加傾向をたどっていることを強調しています。

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英国外務省の年次人権報告書で日本の死刑制度を解説

ウィリアム・ヘイグ外務大臣は、2014年4月10日、「人権と民主主義に関する年次報告書2013年版」を発表しました。この報告書は、世界各国の人権をめぐる成功と課題を強調しています。英国外務省の人権に関する6つの優先課題の1つが、死刑制度です。

2013年版は日本の死刑制度を取り上げ、次のように解説しています。

人権報告書――日本の死刑制度

「日本は2012年3月、1年8カ月ぶりに死刑を執行しました。その後、死刑執行数は増加傾向をたどっています。2012年には7人、2013年には8人の刑が執行されました。日本の死刑制度は透明性に欠け、拘置から執行までのプロセスも依然として不透明です。通常、受刑者が死刑の執行を知らされるのはそのわずか2~3時間前で、多くの場合、受刑者の家族が死刑執行の事実を知るのは執行後です。

国際社会は日本の死刑制度を批判していますが、こうした懸念については未だに取り組まれていません。1998年、国連人権理事会は死刑囚の拘置所内での処遇や審理前の保護が不十分なこと、人身保護措置が欠けていること、自白に基づく極刑判決が多いことなどについて懸念を表明しました。昨年には国連拷問禁止委員会が「適切な取り調べが行われていることを検証する手段が欠けていること」について懸念を表明しています。

日本政府は国民の支持を挙げて死刑制度を正当化しています。直近である2009年の内閣府世論調査によれば、国民の86%が死刑制度に賛成していました。しかし、英国のNPOであるDeath Penalty Projectや日本の監獄人権センターなどの団体は、自らの調査によれば政府調査は日本国民の意見を正確に反映していない可能性があると主張しています。

国際的に見ると、G8の一員である日本が死刑の執行を続けていることは、他の国が自国の極刑制度を見直す機運をそいでしまう恐れがあります。しかし、日本は他の国の模範になることもできます。日本のような世界的に影響力の強い国が死刑執行の停止や死刑制度の廃止に動けば大きな反響を呼び、他の国に対して、自国の慣行も見直すべきだという強いメッセージを送ることになるでしょう。

英国は日本との強固な関係を高く評価し、英日両国は連携して広範な国際問題に取り組んでいます。同時に、英国は今後も日本政府に対し、死刑の執行の停止し、ひいては死刑制度を廃止するよう働き掛けを続けていきます。」

英国と日本は長きにわたる関係を築き上げています。しかし、私たちは、未だ死刑制度を存置している日本を含む全ての国に対して死刑の問題点を提起しています。上に引用した文章の目的は、世界的には死刑制度を廃止する動きが強まっているにもかかわらず、日本では近年死刑執行数が増加傾向(2012年7人、2013年8人)にあることに懸念を表明することです。最近の袴田巌氏のケースは、どのような司法制度も完璧なものではないこと、死刑制度の下ではいかなる誤審も取り返しがつかないことを物語っています。

今年後半には日本政府による死刑制度に関する世論調査と並行して独立機関による世論調査が計画されています。日本は両方の調査を活用して死刑制度について国民と対話してほしい。私たちはそう願っています。

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